過眠症とは
夜間十分な睡眠をとっていても、昼間の時間帯に強い眠気に襲われ、何度も居眠りを繰り返してしまう病気です。ナルコレプシー、特発性過眠症、反復性過眠症などの病気が考えられます。その他、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群などでも、夜の睡眠が妨げられるため昼間の眠気が生じることがあります。また、過眠症の診断には睡眠不足や睡眠リズムの影響を考える必要があります。
ナルコレプシーとは
夜間に十分な睡眠がとれているにもかかわらず、日中に耐えがたい眠気を感じ眠り込んでしまう病気です。日本人では600人に1人いるといわれ、10代半ばから日中の眠気を自覚することが多いです。笑ったり喜んだり驚いたときなどに、膝や首、まぶたなどの筋肉の緊張が突然消失したり(情動脱力発作)、寝入りばなに鮮明で生々しい夢をみたり(入眠時幻覚)、金縛り体験を繰り返すなどの特徴があります。ナルコレプシーの原因の一つとして、オレキシンという覚醒を維持する脳内物質が低下していることがわかっています。
覚醒を促すお薬の治療により眠気や情動脱力発作は軽減しますが、この病気を適切に診断できる医師や医療機関が少なく、ナルコレプシーの診断が確定するまでに長い時間がかかることで、強い眠気や情動脱力発作に長期間悩まされ、学業や仕事などで大きな支障を来しやすい現状があります。診断には、1泊2日で入院した上で精密な検査(終夜睡眠ポリグラフ検査と反復睡眠潜時検査)が必要ですので、検査については関連病院をご紹介いたします。
ナルコレプシーの診断(ICSD-3)
ナルコレプシーは主に情動脱力発作の有無によって、Type1とType2に分類されます。
ナルコレプシー Type1
基準AとBが満たされることが必要
- 3か月以上の毎日耐え難い眠気や居眠りがある
- 下記のいずれかを満たす
(1) 情動脱力発作が存在、かつMSLT(反復睡眠潜時検査)で基準を満たす
(2) 脳脊髄液オレキシン値≦110pg/mL, <正常平均の1/3
ナルコレプシー Type2
基準A-Eのすべてが満たされることが必要
- 3か月以上の毎日耐え難い眠気や居眠りがある
- MSLT(反復睡眠潜時検査)で基準を満たす
- 情動脱力発作が存在しない
- 脳脊髄液オレキシン値が異常低値 または未測定
- 他の原因で過眠症状やMSLT所見をよりよく説明できない