自律神経失調症
自律神経失調症とは
自律神経失調症とは心拍数、消化、呼吸、尿排泄などの無意識の体の活動を調節している自律神経系が適切に機能しないときに生じる症状群を指します。これは正確には精神科の病名ではありませんが多くの精神疾患に伴い他科の先生方が自律神経失調症と分類されるような症状を経験します。
特にストレスや不安、抑うつなどが自律神経失調症の症状を引き起こすことが多いです。これは、自律神経系がストレス反応を調節し、その結果として心拍数の増加、血圧の上昇、発汗の増加などの身体的反応を引き起こすためです。その反対に、自律神経失調症の身体的症状は精神的な問題を悪化させることがあります。例えば、心拍の不規則化(動悸)、めまい、胸痛などの症状は、不安を高め、パニック発作を引き起こす可能性があります。
身体症状
疲れが取れない、倦怠感、めまい、耳鳴り、嘔気(吐き気)、便秘、下痢、頭痛、微熱、動悸、手足の痺れなど
精神症状
イライラ(焦燥)、不安、孤独感、抑うつ(気分の落ち込み)、意欲低下、感情のコントロールが難しい
自律神経失調症の治療
自律神経失調症の治療は、上記の通りその原因となる精神疾患を伴うことが多い為、その疾患をしっかり鑑別した上で、その疾患の治療と同時に行われることが多いです。例えば不安や抑うつの治療は、薬物療法(抗不安薬や抗うつ薬などを用いることが一般的ですが詳しくは不安障害やうつ病のページをご覧ください。)、心理療法(認知行動療法など)、生活習慣の改善(規則的な運動、健康的な食事、十分な睡眠など)などを行います。
また、自律神経失調症の症状を直接的に治療するための方法もあります。これには、生理学的なフィードバック(自分の心拍数や血圧など、通常は無意識の身体の信号を視覚的または聴覚的にフィードバックを受ける技術)や、深呼吸や瞑想などのリラクゼーションテクニックがあります。
自律神経失調症は複雑な疾患で、身体的な症状と精神的な症状の両方を伴う可能性があります。
心身症
心身症とは
心身症とは、発症や経過に、心理的要因が密接に関わっている身体疾患です。本人は具体的な身体的な症状を経験しますが、医学的な検査ではその症状を説明する明確な物理的な原因が見つからないことが多いです。
心身症の原因
心身症の原因は、ココロとカラダの両方にあり、もともとその人の身体の弱い部分(臓器など)に、さまざまなストレスなどの環境因加わる事によって起こるといわれています。
心身症の主な形態と特徴
- 心因性疼痛障害:特定の部位(頭痛、背痛、胃痛など)の慢性的な痛みを経験しますが、物理的な原因が見つからない場合。
- 心因性運動障害/感覚障害:麻痺、失語、失明、聴力喪失などの感覚的または運動的な問題があり、医学的な検査で物理的な原因が確認できない場合。
- 心因性昏倒:不安や強い感情的な反応が昏倒を引き起こします。
- 体験性障害:患者は健康な体部位が機能しない、または存在しないと感じます。
心身症の治療
心理療法(特に認知行動療法)により患者が自身の考え方や感情を理解し、ストレスを効果的に管理する方法を学びます。また、薬物療法として患者が抑うつ症状や不安症状を経験している場合に行います。生活の改善、特に睡眠、飲食、運動の習慣の改善も症状の改善につながります。