発達障害(大人の発達障害)
発達障害とは生まれ持った発達面の特性を有する疾患です。発達特性により様々な生活上の困りごとが出現することがあります。できるだけ早期に発見し支援や治療につなげることで予後がよくなると言われており、昨今では幼少期から広く診断を受ける傾向が見受けられます。一方で幼少期には特に指摘を受けなかったものの社会に出て職場などでうまくいかず、実は発達の特性を持っていたことで職場でうまくいかなかったケースが増え、「大人の発達障害」という言葉が一般的になって久しいです。例えば、要領が悪い、物事をこなすのに時間がかかる、何気ない会話が苦手、ケアレスミスが多い、優先順位をつけられない、同時平行が苦手などの特性があり、自身では真面目に取り組んでいるつもりでもなぜか評価されなかったり、上手くいかないといったことがある場合に発達障害がかくれている可能性があります。
一方で生まれ持った特性であることからもわかるように発達障害は生後の育て方や環境が原因となることはありません。
発達障害の種類
自閉スペクトラム症(広汎性発達障害、アスペルガー症候群など)
症状や特徴
身振りや表情を理解するのが難しい、目を見ることが少ない、他人と共有する感情表現が不足しているなどがあります。また、言葉を話すのに困難を感じる人もいます。加えて特定の物や活動に強い関心を持つことがあり、繰り返しの行動(手を振る、回るなど)、ルーチンへの固執、変化への抵抗感も特徴的です。他にも光、音、接触、味、または臭いに対する反応が通常とは異なる場合があり、特定の感覚刺激を避けたり、逆にそれを探し求めたりすることがあります。
- 相手の気持ちを読み取るのが苦手
- 物事に対する強いこだわりがある
- 音、光、温度などに敏感、あるいは鈍感
- 急な予定の変更にうまく対応できない
ADHD(注意欠陥多動性障害)
症状や特徴
- 注意力の散漫:ADHDの人は集中力が不足し、タスクを終了させるのが難しいことがあります。また、物事を容易に忘れ、散らかったり、組織化が難しい傾向があります。
- 過活動:身体をじっとしておくのが難しい、状況を考えず話しすぎる、不適切なタイミングで行動するなどの症状があります。
- 衝動性:衝動的な行動を起こす方が多く、待つことが難しいと感じることがあります。これは割り込みや注意を引きつける行動として表れることがあります。
具体的には下記のような症状があります。
- 1つの物事に時間をかけて取り組んだり、1つの場所に居続けることが難しい
- 状況を考えずに、場にそぐわない発言・行動をしてしまう
- 相手の感情を考慮しない発言・行動をしてしまう
- 計画を立てる前にすぐに行動に移してしまう
- 何かを我慢しているときに、まわりの目を気にせず貧乏ゆすりをしてしまう
- 忘れ物、約束を忘れることが多い
- 整理整頓が苦手
- 私物を頻繁に紛失する
- テストでのケアレスミスの多発
- 時間の管理が苦手、登校時間や待ち合わせに間に合わない
治療法、処方薬
ADHDの治療としては心理社会的療法として環境調整や診察の中で生活上の困りごと関して相談しながら必要に応じて薬物療法としてストラテラやコンサータ、インチュニブなどの特性を緩和する薬剤や対症療法的な薬剤を使用することがあります。
学習障害
知的発達の遅れや意欲、環境的な問題がないのにもかかわらず、読み、書き、計算など特定の課題に困難さがあり学業不振を生じるのが特徴です。無理に不得意なものを伸ばそうとするよりも、補助手段を用いたり、学習の工夫をすることなどが必要です。