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広場恐怖症

広場恐怖症とは

広場恐怖症は、公共交通機関の利用や人込み、一人での外出(例:店舗、映画館、行列に並ぶ)などの逃れることが困難であったり、助けが得られないかもしれない複数の状況に反応して生じる、顕著で過剰な恐怖または不安を特徴とする疾患です。

本人は特定の否定的な結果(例:パニック発作や制御困難であったり困惑させられるような身体的症状)への恐怖をまねくこれらの状況に対して常に不安を感じており、こういった状況は積極的に回避されたり、信頼できる仲間がいるような特定の場面のみ参加できたり、或いは強い恐怖や不安を感じながら耐えられたりしています。

症状は少なくとも数カ月間持続し、個人、家族、社会、教育、職業、その他の重要な機能領域において有意な苦痛または障害をもたらすほど深刻です。ICD-10では、広場恐怖症を社交恐怖や特異的恐怖症と並ぶ恐怖症の中心的な障害と理解し、パニック発作は恐怖症の重症さの表現と捉えていましたがICD-11でもその点は同様です。

広場恐怖症の診断基準

ICD-11

1.顕著で過剰な恐怖や不安が逃げることが難しく助けを得にくい複数の状況において、またはその状況を予期することによって起こる。

2.パニック発作やそのほかの耐え難いあるいは取り乱すような身体症状(嘔吐、嘔気、腹痛、めまい、動悸、失禁等)といった特定の望ましくない症状が生じることへの恐怖のために、1.のような状況を過度に怖がったり不安に感じる。

3.上記のような状況を極力避け、(同伴者がいたり各駅停車の電車に乗るなど)特定の条件下でのその状況に立ち入るか、不安や恐怖を強く抱きながら我慢してその状況に耐えている

4.その症状は一過性ではなく長期間にわたって持続している。

5.他の精神および行動の障害によるものではない

6.著しい苦痛や社会機能障害を伴う

DSM-5

A.以下の5つの状況のうち2つ(またはそれ以上)について著明な恐怖または不安がある。

  1. 公共交通機関の利用(例:自動車、バス、列車、船、航空機)
  2. 広い場所にいること(例:駐車場、市場、橋)
  3. 囲まれた場所にいること(例:店、劇場、映画館)
  4. 列に並ぶまたは群衆の中にいること
  5. 家の外に一人でいること

B.パニック様の症状や、その他耐えられない、または当惑するような症状(例:高齢者の転倒の恐れ、失禁の恐れ)が起きた時に、脱出は困難で、援助が得られないかもしれないと考え、これらの状況を恐怖し、回避する。

C.広場恐怖症の状況は、ほとんどいつも恐怖や不安を誘発する。

D.広場恐怖症の状況は、積極的に避けられ、仲間の存在を必要とし、強い恐怖または不安を伴って耐えられている。

E.その恐怖または不安は、広場恐怖症の状況によってもたらされる現実的な危険やその社会文化的背景に釣り合わない。

F.その恐怖、不安、または回避は持続的で、典型的には6ヵ月以上続く。

G.その恐怖、不安、または回避は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こす。

H.他の医学的疾患(例:炎症性腸疾患、パーキンソン病)が存在すれば、恐怖、不安、または回避が明らかに過剰である。

  1. その恐怖、不安、または回避は、他の精神疾患の症状ではうまく説明できない――例えば、症状は「限局性恐怖症、状況」に限定されない、(社交不安症の場合のように)社交的状況にのみ関連するものではない、(強迫症の場合のように)強迫観念、(醜形恐怖症のように)想像上の身体的外見の欠陥や欠点、(心的外傷後ストレス障害の場合のように)外傷的な出来事を想起させるもの、(分離不安症の場合のように)分離の恐怖、だけに関連するものではない。
    注:広場恐怖症はパニック症の存在とは関係なく診断される。その人の症状の提示が、パニック症と広場恐怖症の基準を満たしたならば、両方の診断が選択されるべきである。

遺伝的要因

広場恐怖症の遺伝率は61%とパニック障害より高いことが報告されています。また、外向性が低いことや高い神経症傾向が広場恐怖症だけでなく、社交不安障害や限局性恐怖症の遺伝的・環境的リスクとなる可能性について言及されています。

心理社会的要因

小児期の逆境的な体験(例:身体的虐待、周期的な厳しい体罰、身体的暴力、性的虐待、ネグレクト、親の長期不在、両親間の暴力、経済的困難など)や離婚や夫の死去、別居等の家庭環境、過保護ややさしさの欠如、権威主義(authoritarianism)などの成育環境は広場恐怖症やパニック障害の発症と関連があるとされています。また、家庭・友人関係・仕事上のストレスが症状を悪化させる可能性もあります。一方で、パニック発作経験前の不安やの過敏性やネガティブな感情、幼少期の行動抑制は、広場恐怖症やパニック障害やその他の恐怖症に関連するだけではなく、パニック発作を経験した後に広場恐怖症に発展する予測因子であることも示唆されています。

その他、疫学や治療法や鑑別診断等に関しましては広場恐怖症~電車や人込みなどでの不安 2024/04/21 BLOG をご参照下さい。

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